【動物看護士が解説!】犬がブルブル震える原因と対処法。震えは病気のサインかも?

Contents

愛犬が震えている原因・理由とは?

 

犬がブルブル震える原因 その① 寒さ  

犬の平均体温は、約38前後です。
人よりも少し高い体温だからといって、寒さに強いわけではありません。
もちろん、犬種によって暑さに強かったり、寒さに強かったりする場合もあります。
しかし、ペットで飼われている犬の多くは、人の体感温度とほとんど変わりません。
特に冬は寒いので、散歩中や、部屋の中の温度が寒ければ、ブルブル震えだします。
夏もエアコンの温度が低ければ、室内で震えだす犬もいます。
このような環境で、震えだしたら、寒さが原因の可能性があります。

 

犬がブルブル震える原因 その② 怖さ

犬も、恐怖感というものを持っている動物です。
犬にとって、何らかの怖い体験をした場合に、また同じことが起こると、それを思い出して怖くなり、震えだすことがあります。
また、初めての経験でも、怖いと感じると震えることがあります。
自分より大きい犬に吠えられたり、威嚇されたり、高い所に乗せられたり、飼い主さんに叱られたりしても震え出す犬もいます。

神経質な犬であれば、雷や花火、掃除機などの大きな音にも怖がったりなど、多少のこと震え出す犬もいます。

 

犬がブルブル震える原因 その③ 緊張

犬にも性格によって緊張しやすい子がいます。
分かりやすい例でいうと、緊張で震えている場合に多いものが、動物病院です。
初めて来た時は尻尾を振って愛想良くしていた犬も、注射や手術、痛い処置などをされた場合や怖い思いをした場合、それ以降動物病院が怖い所になります。
診察台の上に乗せられると、そのときのことを思い出して、また何かされるのかもと緊張してしまい、体も力が入り、震えが止まらなくなってしまう犬も多いです

 

犬がブルブル震える原因 その④ 興奮

犬にとって、とても嬉しいことが起こった場合、好きなものを焦らされている時などに、興奮して震える場合があります。
大好きな飼い主さんが、待ちに待って帰ってきた時や、欲しいおやつを焦らされて、物欲しさに興奮しながら震えます。
この震えは病的な震えではありませんので、特に心配する必要はないでしょう。

 

犬がブルブル震える原因 その⑤ ストレス

ストレスから震えが起こることがあります。
何らかの強いストレスがかかることによって、一時的に震えるというより、慢性的に震えている場合が多いです。
長時間の恐怖や緊張などや、慣れない環境に置かれたことによって、この震えが癖になってしまう犬もいます。

慢性的に震えていた場合、動物病院で検査をしても異常がないこともあり、精神的なストレスが原因震えていると診断されることもあります。

 

犬がブルブル震える原因 その⑥ 痛み

犬の震えの原因で多いのは、痛みからくる震えです。
犬は人間のように言葉が話せません。
犬は痛みを訴える場合、じっとして震えている場合がありますので、飼い主さんが気付いてあげることが、病気の早期発見へと繋がります。
震えは、骨折や怪我などの外傷的な痛みから来る場合や、内臓の異常による体の内部の痛みからくる場合があります。

 

 

愛犬が震えているときの対処法は?

犬が震えている時に考えられる様々な原因があります。
震えている時には、まず最初に、愛犬がなぜ震えているのかを考えなければいけません。
原因を取り除いてあげることで、ほとんどの場合は、震えが止まります。

そして、一番大切なことは、痛みや体調不良など病的に震えていないかをしっかり見極めなければいけません。
 

 愛犬が震えているときの対処法 その① 恐怖・緊張・ストレスになっているものを取り除く

恐怖や緊張、ストレスで震えている場合は、それぞれどんな場合に震えているのか、飼い主さんが把握しているケースがほとんどですので、その原因を取り除いてあげましょう。

恐怖に関しては、トラウマになるような経験を極力避けてあげましょう。
一度怖い思いをすると、記憶力のいい犬はいつまでも覚えています。
大型犬や吠えてくる犬が怖い小型犬にはわざわざ近づかせない、飼い主さんの叱り方に震えてしまう場合は、叱り方を変えるなどの工夫が必要です。

緊張しやすい犬に対しては、震えが止まるまで抱っこしてあげたり、動物病院での震えに対しては安心できるように声をかけてあげたり、処置を早めに済ましてもらうなどしましょう。

雷や花火など、どうしても避けられない場合や、震えに加えてパニックになってしまう場合は、動物病院へ相談すると、精神安定剤を処方してもらえる場合があります。

  

愛犬が震えているときの対処法 その② 暖める

寒い時に震えているならば、 寒さを取り除き、暖かくしてあげればすぐに震えが治ります。

散歩中に震えているのであれば、暖かい服を着せて散歩へ出かけたり、昼間太陽が当たっている比較的暖かい時間帯に散歩へ連れて行ってあげましょう。
それでも寒がって震えるようなら、室内でに運動を増やしたり、室内ドッグランで運動をさせてあげるのもおすすめです。
また、留守番時は、寒くなっても温度管理ができないため、普段の室内の温度管理から、愛犬の適温を知ることも大切です。
留守中、万が一寒くなっても対応できるように、毛布などの暖かいものをケージに入れておくと良いです。

しかし、体調不良や発熱などによる寒気があれば、ただ暖かくしてあげても根本的に治りませんので、動物病院へ相談しましょう。

 

愛犬が震えているときの対処法 その③ 動物病院へ連れて行く

様子をみたり、暖めたりしても震えが止まらなかったり、原因がよく分からなくて震えている場合は、動物病院へ連れて行き、診てもらいましょう。
犬の震えには病気の可能性もありますので、しっかりと愛犬を観察し、震えが止まらなかったり、他の症状が出たり、いつもと様子がおかしければ、動物病院で診察を受けましょう。

他の症状がでていたら、すぐに動物病院へ連れて行く飼い主さんも多いですが、震えているだけといって、ずっと様子を見ていると病気が悪化してしまう場合があります。

大きな病気を見逃さないためにも、分からなければ獣医師に頼るのも一つの対処法です。

 

 

犬の震えから考えられる病気って?

 

犬の震えから考えられる病気①~外科的な病気

犬によくある痛みを伴う外科的な病気で代表的なものは、膝蓋骨脱臼、骨折、レッグペルテス(大腿骨頭壊死)などがあります。

 

犬の震えから考えられる外科的な病気 その① 膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼とは、後肢の膝蓋骨と呼ばれる膝のお皿が本来あるべき場所から外れてしまう状態をいいます。
膝蓋骨脱臼に関しては悪さのレベルをグレード1~4で表し、痛みを伴うには、グレードが高くかなり悪化してしまっている状態です。
この時の痛みが原因で震えが発生します。

 

犬の震えから考えられる外科的な病気 その② 骨折

骨折は、骨が折れるため強い痛みを伴います。
折れた所が腫れていたり、力が入っていなかったり、痛みのため震えていたりしていると、骨折している可能性があります。

 

犬の震えから考えられる外科的な病気 その③ レッグペルテス 

レッグペルテスは大腿骨頭壊死症とも呼ばれています。
この病気は、大腿骨頭と呼ばれる、骨盤と大腿骨(太ももの骨)を連結している骨への血流が何らかの原因で阻害されて壊死を起こしてしまいます。
初期症状は、後ろ足を引きずったりしますが、進行すると痛みが出てくるようになり、完全に足をあげて歩いたり、動かさなくなったり、痛みで震えることがあります。

 

犬の震えから考えられる病気②~内臓の炎症

内臓の炎症といっても、様々な種類があります。
痛みを伴う代表的なものは、胃腸炎、膵炎、肝炎、膀胱炎などがあります。

 

犬の震えから考えられる内臓の炎症 その① 胃腸炎

胃腸炎は、比較的犬によく見られる病気です。
軽度のものから、重度のものまでありますが、お腹が痛くなりますので、震える症状の他に、嘔吐や下痢を引き起こすのが特徴です。
ただの胃腸炎の場合もありますが、寄生虫や感染症が原因で胃腸炎を引き起こす場合があり、その原因によってはかなり痛みが強く、命に関わるものもあるので注意が必要です。

 

犬の震えから考えられる内臓の炎症 その② 膵炎

膵臓に炎症が起こる膵炎には、急性膵炎と慢性膵炎と2種類あります。

急性膵炎は、下痢、嘔吐、発熱、食欲や元気の低下、激しい腹痛などの症状があります。
重度の場合は、呼吸困難やショックを引き起こし、命に関わることもあります。

慢性膵炎は、急性膵炎ほど激しい症状はでないものの、軽度で慢性的に似たような症状がおこりますが急性膵炎に比べると命に関わることは少ないです。

膵炎の時の痛みはかなり強いため、じっとして震える犬がほとんどです。

 

犬の震えから考えられる内臓の炎症 その③ 膀胱炎

膀胱に何らかの原因で起こる炎症です。
膀胱炎の原因は、尿道から細菌が入ったり、結石が出来ることで膀胱を傷つけ炎症をおこします。
初期症状は、頻尿や尿の量が少ないなどですが、悪化すると血尿がでたり、元気食欲がなくなったり、排尿痛が出てくるようになります。
この時におしっこを我慢したり震えるようになる犬がいます。

 

 

犬の震えから考えられる病気③~低血糖

低血糖とは、血液中の糖分が低下してしまい、全身に栄養が行き渡らなくなる病気です。

子犬では、空腹や内臓障害によって栄養が吸収出来ないことが原因になる場合がほとんどです。
成犬の場合は、栄養不足から来る場合もありますが、糖尿病を患っている犬が、インスリン治療中のコントロールがうまくいかず、低血糖を起こしてしまう場合があります。
低血糖の症状は、元気や食欲がなくなり、ぐったりします。
悪化すると、痙攣を起こしたり、意識を失ったり、そのまま命に関わることもよくあります。
この意識障害を起こす前に震えが起こる場合があります。
また、体温も下がり、寒さで震えることもあります。
震えの症状が目立つのは、子犬の低血糖の方です。

 

犬の震えから考えられる病気④~中毒

犬が何らかの原因で中毒症状を起こすと、震える症状が出てくることがあります。
特に気をつけたいものが食べ物です。
人間は普通に食べられるものでも犬にとっては命に関わるほど危険な食べ物があります。
チョコレートや玉ねぎなどのネギ類、ぶどう、キシリトールなどがあります。
食べ物以外にも植物、薬剤、生き物など様々なものが原因となります。

もし、中毒を起こすものを食べてしまった場合、嘔吐や血便、酷いものでは呼吸困難、意識障害、そして最悪の場合は死に至ります。
さっきまで元気にしていたのに、急激に震えだしたり様子がおかしくなるのであれば、中毒症状を引き起こしている可能性があります。

 

犬の震えから考えられる病気⑤~脳、神経の病気

てんかん

てんかんとは、脳の神経が異常に興奮する状態です。
てんかんが起こると、体が硬直し発作が起こるため、震えているように見えるのが特徴です。
失禁やよだれもでてきます。
酷いものだと、意識障害も表れます。

てんかんが原因で震えているものもありますが、てんかんは一時的に起こるものではなく、定期的に発症します。
似たような痙攣や発作が起こる場合も震えがあるので、一概にてんかんとは言えない時もあります。

 

水頭症

水頭症とは、脳内の脳室という中に脳脊髄液が異常に溜まってしまい、脳の組織が圧迫されることによって、様々な障害が生じる病気です。
水頭症は、先天的なものが原因で、生後6ヵ月までの小型犬に多い病気です。
症状は、頭が特徴的なドーム型になったり、ぼーっとすることが多くなったり、急に性格が変わったように興奮したりします。
ひどくなると、痙攣を起こしたり、立ち上がれなくなったりもします。
この、痙攣の前兆として震えだすことがあります。

 

椎間板ヘルニア

脊椎は、頸椎、胸椎、腰椎でできていて、それぞれの脊椎の間に衝撃を吸収するクッションの役目をしている椎間板と呼ばれるものがあります。
この椎間板が、変形や移動し、神経を圧迫します。
この状態を椎間板ヘルニアと呼ばれます。
神経を圧迫するため、かなりの痛みがあり、じっと動かなくなったり震えたりします。
悪化すると、歩けなくなったり、後ろ足に麻痺をおこしたり、排便排尿が困難になります。

 

犬の震えから考えられる病気⑥~腫瘍

 腫瘍は、様々な場所にできます。
悪性腫瘍の場合は、痛みを感じることが多く、悪化すればするほど様々な症状や震えが表れます。

 愛犬の震え、他の症状がある場合は?

犬が震えるのは大きくわけて、病気でない環境的な震えと病気の可能性がある震えがあります。

寒さ、怖さ、緊張などの明らかに病気ではない震えはその犬に合った対処法で震えは無くなります。
しかし、痛みや発作などからくる病的な震えに関しては、他の症状も一緒に出ている場合がほとんどです。

震え以外にも、じっと動かなかったり、食欲が無かったり、いつもと違う様子がある場合は、すぐに動物病気へ連れていき、獣医師に診てもらいましょう。

震えは、愛犬が何らかのSOSを出しているサインです。
病気の早期発見に繋がることもありますので、見逃さないようにしましょう。

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