獣医師が解説する犬の白内障  〜原因、診断、治療法について〜

犬の白内障は高齢犬のみに起こる病気なの?

犬の白内障というと、年をとった高齢犬のみと考えがちです。

6歳齢以上でおこる白内障を老齢性白内障と呼びますが、実はそれ以外にも犬が2歳齢までに発生する若齢性白内障や、2〜6歳齢でおこる成犬性白内障などもあり、白内障というのは、どの年齢層の犬でも起こるとされています。

 

犬の白内障の分類とは?

犬の白内障は、段階によって、以下のように4つに分類されます。

  • 初期白内障:見た目には分からない。
  • 未熟白内障:視力はあり。
    水晶体の混濁が見た目ですぐ分かる。
  • 成熟白内障:視力なし。
    水晶体は変性し、膨化してくる。
    見た目に真っ白の目。
  • 過熟白内障:視力なし。
    水晶体の前嚢カプセルと呼ばれる前縁と、後嚢カプセルと呼ばれる後縁がくっついてしまう。
    目が白くきらきらと見える。

犬の目が白くなってきたら、白内障っていうこと?

犬の飼い主のみなさんは、見た目に、目が白くなってきてしまったら白内障であると思い込んでいませんか?

確かに白内障であるケースも少なくありませんが、実は核硬化症というものがあって、ぱった見た目では白内障との区別はつきません。

核硬化症は、水晶体の核が硬化したもので、加齢に伴う正常な現象で視力が失われることはないのです。

 

犬の白内障の原因って?どんな犬種で起こりやすいの?

犬の白内障の原因には、遺伝的なものと、遺伝的ではなく後天性のものがありますが、多くの犬種で遺伝性白内障が認められています。
(以下に好発品種記載します)

犬の白内障の原因の一つ、後天性の原因としては、外傷、栄養欠乏、中毒(ジニトロフェノール、ナフタレン)、炎症、糖尿病、低カルシウム血症、放射線、電気ショックなどが挙げられます。

白内障になりやすい犬種

  • ミニチュア・プードル
  • トイ・プードル
  • スタンダード・プードル
  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • ミニチュア・シュナイザー
  • ボストン・テリア
  • シベリアン・ハスキー
  • ビーグル</li>
  • アイリッシュ・セッター
  • アフガンハウンド
  • ラドール・レトリバー
  • オールド・イングリッシュ・シープドッグ
  • ウエルッシュ・スプリンガー・スパニエル
  • ジャーマンシェパード

※典型的に失明に進行する白内障を起こす犬種としては、上記の中でもプードル、アメリカン・コッカー・スパニエル、ミニチュア・シュナイザーが挙げられます。

 

犬の白内障の進行はどれくらいかけて起こるの?

犬の白内障の進行について一般的には、数ヶ月〜数年かけて進行するとされていますが、老齢性白内障の場合は、犬の加齢に伴いゆっくりと進行します。

また、後天性の糖尿病によるものは非常に進行が早いことで知られています。

 

犬の白内障はどのように診断されるの?

犬の白内障の診断は、品種、発症年齢、白内障の発生部位、進行度合いなどを念頭に置きながら行っていきます。

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