犬の脳梗塞とは?
犬の脳梗塞の現状
犬の脳梗塞は少し前までは脳梗塞を起こすことはかなり少なく、稀であると考えられてきました。しかし、最近になって脳梗塞を含む脳の血管障害というものが起こることが分かってきています。
実際、小さい動物病院では、まだまだ脳梗塞と判断できるような症例はほとんどなく、あったとしても原因が分からずにCTやMRIの検査ができる大きな動物病院を紹介した上で診断してもらえるような病気です。このようなことから、動物病院で働いていても現在はまだ脳梗塞のはっきり判断できるような症例は少ないと感じられます。
では、実際の脳梗塞とはどのような病気なのでしょうか?
脳梗塞とは
脳梗塞とは、脳の血管障害です。何らかの原因によって脳の血管が破裂して血栓が動脈に詰まったり、脳への血液のめぐりが低下したりしまいます。そのことによって、脳内の酸素や栄養が不足し、脳が貧血を起こしたり組織が壊死したりして脳の働きが正常に行われなくなる危険な病気です。
犬の脳梗塞の症状
脳梗塞の症状は、脳が障害を受けた部位によっても異なります。しかし、いづれも急激な症状を示す場合と、片側性に起こることが多いです。
初期症状
- めまい
- 頭痛
- 足の痺れ など
犬の脳梗塞の初期症状でこのような症状が挙げられますが、実際に人のように「めまいがする」、「足が痺れた」など言葉に出して伝えるというようなことはできません。なので、飼い主さんが脳梗塞の初期症状に気がつくのはとても難しいです。頭痛によっていつもより元気が無かったり、めまいや足の痺れによって少しふらつきが見られたり、歩きたがらないような場合もありますが、明らかなものではなく少しの違和感のような症状が多いようです。
そして、少しの違和感やいつもとの違いを動物病院で獣医師に訴えても、このような症状だけでは、獣医師も脳梗塞と判断するにはなかなか難しいのが現状です。
初期症状が現れても、一時的なもので様子を見ていれば通常通りに戻る場合もありますので、犬の脳梗塞の早期発見も難しいのです。
大脳に発症した場合
- 沈鬱
- 筋肉の痙攣
- 片側不全麻痺
- 旋回運動
- 嗅覚麻痺など
沈鬱とは、気分が沈むことですが犬の沈鬱状態とは人から見るとただ元気が無いようにも見えますので、なかなか判断しづらいです。
また、片側不全麻痺とは障害が部分的に起こったり筋力の低下が体の片側に起こったりし
ます。
旋回運動は、同じ場所をくるくるとずっと回っているような行動です。犬の認知症などでもこのような行動がよくみられます。
嗅覚麻痺になると、食餌を目の前にしても食欲が起きないことがあり、食欲低下に繋がります。
小脳に発症した場合
- 傾斜
- 眼振
- 測定過大
斜頸とは、首が傾いてしまうことです。眼振とは、自分の意志とは関係なく眼球が動くことです。測定過大とは、目的の場所や物を通り過ぎてしまう行動です。
犬の脳梗塞は、大脳や小脳以外にも起こりますが、最も多くの発症率を占めるのはこの小脳です。しかし、これらの症状は脳梗塞だけではなく他の脳障害でも起こります。そのため、このような症状が見られたからといっても、症状だけで脳梗塞と判断するのはとても難しいのです。
犬の脳梗塞の治療法
人の脳梗塞の場合であれば、様々な治療法がありますが、犬の脳梗塞の場合の治療はまだその効果がしっかりと確認できていないのが現状のようです。そのため、起こっている症状を落ち着かせるような対症療法がメインとなります。