【動物看護士が解説!】犬が血便をした場合の原因と対処法をご紹介。嘔吐など他の症状がある場合はどうしたらいい?

 

愛犬の血便、原因・理由とは?

 

血便となる原因は、病気やストレスなど様々です。

血便といっても、普通の固い便に血が混じっていたり、下痢便に赤い血が混じっていたり、黒っぽい便だったりと種類も様々です。

血便の種類が異なるのは、出血する部位が違ってくるからです。
血便を起こす原因として大きくわけて、3つあります。

 

犬が血便を起こす原因 その① 胃や小腸からの出血

胃や小腸から出血している場合は、黒色や黒っぽい便として排出されます。
この黒っぽい便を「タール便」といいます。
肛門から遠い胃や小腸での出血では、赤いまま便に排出されないのは、腸内細菌が出血した血液を分解したり、消化酵素によって黒色に変色するためです。

場合によっては、胃より上の口腔内や、気管などからの出血もこのタール便を排出する原因となります。

 

犬が血便を起こす原因 その② 大腸からの出血

大腸から出血している場合は、赤い便がそのままでたり、赤いものが混じっている便として排出されます。
この赤色が分かる便を「血便」といいます。
肛門から近い大腸での出血では、腸内細菌の分解を受けずにそのまま排出されるため、変色しません。

多くの血便のイメージはこちらの方が強く、実際に血便に気づいて動物病院へ来る患者さんは、圧倒的に大腸からの出血が原因の場合が多いです。

 

犬が血便を起こす原因 その③ 肛門からの出血

肛門から出血している場合は、固い便に赤い血が付いているようなものが多いです。
痔核や裂肛といった、いわゆる「痔」が原因で出血している場合です。

便秘傾向の犬になりやすく、下痢便や軟便ではなく、固い便のときにみられます。

また、肛門腺が溜まりすぎて、肛門嚢が破裂して出血している場合も考えられます。

内臓からの出血というよりも、普通の便に肛門からの血が着いたような状態です。

 

愛犬の血便!対処法、応急処置法は?

 

血便は、様々な病気が考えられる症状です。
軽いものから、重症化すると命に関わる病気の場合もあります。
基本的には何日も様子を見るよりも、出来るだけ早く動物病院へ連れていき、診てもらうことをオススメします。

血便をしたのが、夜であったり、行きつけの病院が休診日だったり、すぐに動物病院へ行くことが出来なかったりする場合、家で応急処置や対処しなければなりません。

愛犬が血便をした時は、まず最初に便の様子を見てみることから始めて下さい。
便の色や、柔らかさ、回数をしっかり観察しましょう。
そして、肛門周辺からの出血かそうでないか確認しましょう。

 

肛門からの出血であれば、便秘になっていて可能性があります。
基本的には、消化のいいものを食べさせてあげ、水分をよく取るように心掛けましょう。
あまりにも出血や便秘の状態が悪ければ、動物病院へ連れていきましょう。
肛門嚢が破裂している場合は、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

血便をしても、元気食欲は変わりなくあり、回数もいつも通りで下痢便でなければ、いつも通りしてあげてても構いません。
このような場合は、一過性の可能性があります。

しかし、元気食欲が低下し、下痢便に血が混じっていたり色が黒かったりしていて回数も多くなっている場合は、安静にしてあげます。
そして、ドッグフードを与えるのであれば、消化のいいものを少量ずつ与え、おやつは控えましょう。
動物病院へ行く事ができるようになれば、すぐに診てもらいましょう。

元気食欲低下、下痢の血便で回数もいつもと違い、嘔吐や腹痛、震えなどの他の症状がでていて、ぐったりしているようであれば、命に関わる病気になっている可能性があります。
様子を見るよりも、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

 

愛犬の血便から考えられる病気とは?

 

愛犬の血便から考えられる病気 その① 胃腸炎

胃腸炎は胃や腸に炎症が起こり、犬になりやすい病気です。
軽度の胃腸炎だと、軽い下痢や嘔吐があり、数日から1週間程度で治る場合がほとんどです。
しかし、胃腸炎が重症化し、出血を伴う胃腸炎になってしまうと、血便やトマトジュースの様な血の混じった下痢便をすることもあります。
出血が多いと、ショックや脱水を引き起こすこともあるので、様子を見ずにすぐに動物病院へ連れていきましょう。

 

愛犬の血便から考えられる病気 その② 膵炎

膵炎とは、膵臓が何らかの原因で炎症が起こる病気です。
急性膵炎と慢性膵炎がありますが、血便を引き起こす可能性があるものは、急性膵炎の方が圧倒的に多くみられます。

急性膵炎は、下痢、嘔吐、発熱、食欲や元気の低下、激しい腹痛などの症状があります。
重度の場合は、呼吸困難やショックを引き起こし、命に関わることもあります。
この下痢便は基本的に悪臭の脂肪便が出ることが多いですが、何回も繰り返すと消化器に炎症が起こり血便を引き起こすこともあります。

愛犬の血便から考えられる病気 その③ 腫瘍

腫瘍は、あらゆる所にできます。
目に見えない胃や大腸などの消化器にできる腫瘍で、さらにそれが悪性腫瘍であれば様々な悪さをします。
代表的な血便を引き起こす腫瘍としては、大腸がんや胃がんなどがあります。

愛犬の血便から考えられる病気 その④ 腸重積

腸重積とは腸の蠕動運動の異常によって、腸の一部が内部に入り込んでしまう病気です。
腸が折り重なるため、通過障害や血行障害を引き起こし、壊死してしまうこともあります。
初期症状は少量の粘膜便や下痢便、血便、嘔吐などですが、時間が経てば経つほど重症化してしまいます。
お腹を触られるのを嫌がったり、ぐったりするようになりますのですぐに動物病院へ連れていきましょう。
治療は、手術で腸の整復をします。

 

愛犬の血便から考えられる病気 その⑤ 胃腸内異物

物をかじったり、食べてしまう癖のある犬に多いのがこの胃腸内異物です。
よくあるケースが、おもちゃやアクセサリー、人の靴下などの衣類を飲み込んでしまって、胃や腸などに留まったり、詰まってしまうことによって症状を引き起こします。
胃腸内異物は、腸重積や腸閉塞などを引き起こす原因ともなります。

また、飲み込んだものが、串や針、アクセサリーなど尖っているものだと、胃腸内の粘膜を傷つけてしまい、出血する可能性もあります。
これが血便を引き起こす原因ともなります。

 

愛犬の血便から考えられる病気 その⑥ 中毒

犬には、様々な種類の中毒があります。
有名なもので、玉ねぎ中毒やチョコレート中毒があります。
中毒によって血便を引き起こすものは、玉ねぎなどのネギ類です。
ネギには、赤血球を壊してしまう成分が含まれているので、これによって、貧血、下痢、嘔吐、血尿、血便などを引き起こす場合があります。

 

愛犬の血便から考えられる病気 その⑦ 寄生虫

内部に寄生する寄生虫のうち、腸に寄生するものがあります。
鉤虫や回虫、条虫や鞭虫など、種類は様々です。
これらの寄生虫が腸内や腸壁に寄生することによって、下痢になったり、炎症を起こしたり、腸壁から出血するようになります。
これがひどくなると、血便を引き起こしてしまいます。
成犬より、子犬に多い症状です。

 

愛犬の血便から考えられる病気 その⑦ ウィルスによる感染症

犬のウィルスによる感染症で血便を引き起こす可能性のあるものは、犬パルボウイルス感染症、犬コロナウィルス感染症、レプトスピラ症があります。

犬パルボウイルス感染症は、激しい下痢と嘔吐が特徴で、トマトジュースの様な血便を引き起こします。
犬コロナウィルス感染症は、コロナウィルス性腸炎とも呼ばれていて、腸炎の様な症状が起こるため、血便をする場合もあります。
レプトスピラ症は、レプトスピラというウィルスで感染ますが、様々な種類があり、それぞれの症状が異なります。
出血型のウィルスに感染すると血便を引き起こします。

どれも命に関わる怖い感染症で、混合ワクチンで簡単に予防出来るものなので、しっかり混合ワクチンを打っておきましょう。

 愛犬の血便から考えられる病気 その⑧ 歯周病

歯周病がひどくなると、歯茎からの炎症がおきたり歯が抜けたりして、出血が起こります。
大量の出血だとそれを飲み込み、血便が出ることもあります。

 

愛犬の血便、他の症状がある場合は?

血便は、肛門周辺のトラブル、ストレスなど精神的なものが原因で引き起こす場合以外は、ほとんど他の症状がでます。
下痢便ではないか、嘔吐はしていないか、元気や食欲が無かったり、いつもよりも少ない場合は何らかの病気をしている事がほとんどです。
他の症状が出ている場合は、あまり様子を見すぎていると、命に関わる場合もありますので、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

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