獣医師が解説する犬の血尿  〜原因、考えられる病気、対処法〜

これは、筋色素あるいは血色素、薬物、および自然・人工食品色素が尿中に混入することによって起こります。

 

血尿以外にどのような症状がみられていますか?

上記に示しましたように、血尿と一言でいっても原因は様々で、それによって伴う症状も違ってきます。
どのような症状を伴う可能性があるのか詳しくみていきましょう。

犬の下部尿路からの出血による血尿

犬の下部尿路の炎症、外傷、腫瘍などが原因で血尿が認められるときは、通常血尿と共に、頻尿(何度もトイレにいきたがる)、排尿痛(尿をするとき痛そうにする)、排尿困難(トイレの体勢をとるけれども、なかなかするにいたらない)などが挙げられます。

犬の上部尿路からの出血による血尿

犬の上部尿路の炎症、外傷、感染、腫瘍などが原因で血尿が認められるときは、血尿以外なんの症状もみられないこともあれば、元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少、腹部痛のような全身症状を伴うこともあります。

犬の生殖器からの出血による血尿

犬の生殖器からの出血が原因で血尿が認められるときは、排尿とは無関係な突発的な出血や、化膿性の膣または尿道分泌物が認められることがあります。

また犬が発情前期だった場合、行動の変化、前立腺疾患では、不自然な歩様を伴うしぶり(妙な歩き方をして便の体勢をとるも通常のように便がでない)などがみられることがあります。

 

血尿の原因を探るための検査はどのようなものがあるの?その診断法は?

犬の血尿の原因は様々なものが考えられます。

その原因を探るため検査も色々と行われることがあります。
以下に考えられる検査、診断法を記していきます。

 

犬の血尿の原因を探るための検査 その1 ~触診~

  • 犬の腎臓の触診:大きさ、形、硬さ、対称性、疼痛の有無など
  • 犬の膀胱の触診(排尿前後で行う):腫瘤、結石など
  • 犬の直腸の触診:雄犬の前立腺チェック、雄雌犬の骨盤部尿道の評価、小型犬では膀胱三角(膀胱から尿道に移行する部位)のチェックなど
  • 犬の膣の触診:大型雌犬では膣の腫瘤、狭窄、裂傷など
  • 犬の陰茎の触診:経皮的に陰茎の付け根から先までチェック、また陰茎を包皮から露出させ腫瘤、外傷、尿道脱などの有無をチェック

※犬の体格が大きくなるほど、細かな臓器の触診が困難になることが考えられます。

 

犬の血尿の原因を探るための検査 その2 ~尿検査~

犬の血尿の原因を探るため、尿検査は血尿では必須の検査です。

犬の尿の採取方法

正確な尿検査を行うためには、尿は20分以内に採取した新鮮な犬の尿が必要となります。

最も理想的には動物病院で膀胱穿刺をして採取した尿がよいとされていますが、その他カテーテルを用いて尿採取を行う場合もあります。

犬の飼い主のみなさんが尿を採取する場合は、きれいに洗ったお玉を使うと採取しやすいです。

犬の尿比重

尿比重は、低張尿1.001〜1,007、等張尿1.008〜1.012、軽度濃縮尿1.013〜1.030、高張尿>1.030に分類されます。

腎臓できちんと尿が濃縮出来るか推測できます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です