【動物看護士が解説!】犬の便秘解消法!原因を知って便秘を予防しよう

犬の便秘とは?

犬も人間と同じように排便をします。同時に、便秘の悩みも人間と同じようにあります。

便秘は健康時に比べて便の量や回数が減り、便が固くなり、排便が困難になる状態になることをいいます。

便が固くなり便の量や回数が減る場合もあります。総じて、便秘は、大腸内の便の通過が遅くなったり、大腸内に長時間便がとどまったりすることで、正常な状態よりも便が出にくい状況のことを指します。

明確な定義はなく、その症状が患者の主観によるところもありますが、症状が深刻化すれば、病院の診療や治療が必要な状態になります。

そのような状態のことを「便秘症」と呼びます。

例えば、便秘によって生じた激しい腹痛や腹部膨満、腹部不快感、排便する際の激しい痛みや出血などの症状がそれにあたります。
便秘症は、病状の期間から、慢性便秘と一過性便秘の2つに分類されます。

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慢性便秘
慢性便秘とは、長時間にわたり持続的に発症する便秘をさします。

一過性便秘
一過性便秘とは、一時的な便秘のことで、便が排出すると、症状が消えます。便の排出までの時間も短時間という特徴があります。

 

犬の便秘の原因とは?

犬が便秘になるのは、様々な原因が考えられます。
考えられる原因の種類を大きく分けて説明していきます。

トイレ

便秘は、その原因によって大きく4種類に分類することができます。その4種類とは、機能性便秘、器質性便秘、症候性便秘、薬剤性便秘です。

犬の便秘の原因① 機能性便秘

機能性便秘とは、病気が原因ではなく、環境のストレスや犬自身の加齢が原因で大腸、直腸、肛門の働きが乱れるためにおこる便秘のことを指します。
機能性便秘をさらに細かく分類すると、弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘、食事性便秘の4種類に分類することができます。

犬の便秘の原因② 弛緩性便秘

弛緩性便秘とは、腸の運動が遅くなることで起きる便秘のことを指します。通常、大腸は一定の緊張をもって働いています。しかし、大腸の緊張が低下すると、腸の運動が遅くなり、便の通過スピードが落ちます。大腸は便に含まれる水分を吸収する器官ですので、便の通過スピードが落ちると、腸内での水分の吸収量が多くなり便が固くなります。また、結腸における蠕動運動が弱いと、便を先に送り出せなくなるため便の通過スピードが遅くなります。これらの弛緩性便秘は、腹筋や肛門周りの筋力の低下が原因です。

犬の便秘の原因③ 痙攣性便秘

痙攣性便秘とは、弛緩性便秘とは逆の状態で、大腸において緊張した状態が続き、便が停滞する便秘のことです。大腸は一定の緊張をもって働いていますが、緊張が強すぎる場合、痙攣が起こり便を送れなくなります。痙攣性便秘の原因は主にストレスです。ストレスを感じると、自律神経が乱れます。そのことによって、腸が通常よりも緊張した状態となり、一部に痙攣が生じます。痙攣部の腸は狭くなりますので、便が通常通りに通過できなくなるため、便秘となります。結腸の蠕動が強すぎる場合も、腸が痙攣を起こし通常通り送り出せなくなります。腸が痙攣をおこすと、その部分に圧力がかかり、お腹が張ったり痛みを起こしたりすることもあります。便をしてもすっきりせず、硬くコロコロの便になります。

犬の便秘の原因④ 直送性便秘

直腸性便秘は、便意が起こらなくなって生じる便秘のことです。通常、直腸まで便がたどり着くと直腸が刺激されて便意を感じて排便します。しかし、便のリズムが乱れたり便を我慢したりすると、この刺激に対して便意が起こらなくなってしまうことがあります。直腸に便があるのに排便しないため、便がどんどん溜まっていきます。便自体も水分を吸収されて固くなり、排出しにくい状態になります。直腸性便秘は、自分の意志で我慢をする犬に多いです。例えば、散歩中に排便をする癖がある犬を散歩に連れていかなかったりトイレの位置が決まっている犬のトイレの位置や種類が変えたりするとき、排便を我慢してしまうことがあります。直腸に便がある時に排便をせず、極度に我慢すると排便のリズムが乱れ、直腸性便秘に至ります。

犬の便秘の原因⑤ 食事性便秘

 最後に、食事性便秘です。食事性便秘とは、食事の内容、栄養の偏りなどによって起こる便秘のことを指します。線維の少ないものや犬の体質に合わないと、便が固くなったり腸内にとどまりやすくなったりし、便秘になります。

器質性便秘

器質性便秘とは、便の通過が物理的なものによって妨げられる便秘のことを指します。大腸の形の異常や腸に起こる何らかの病気、異物を飲み込みや腸の手術後の癒着などにより腸が閉塞することなどが原因となり起こる便秘になります。腸の形の異常や腸の閉塞により、炎症性腸疾患や腸の一部が重なってしまう腸重積となり、便が送れなくなります。また、大腸内の腫瘍などにより腸の一部が狭まることにより便が送れなくなる便秘もこの器質性便秘になります。

症候性便秘

症候性便秘は、病気の症状としておこる便秘です。ホルモンの病気や、糖尿病、神経疾患などの合併症として起こる便秘になります。

ホルモンが原因となる便秘は、自律神経系のホルモンや内分泌系のホルモンの疾患によって起こります。自律神経の乱れによる便秘は痙攣性便秘のところでも説明しましたが、病気が原因で自律神経系ホルモンのバランスが崩れた場合、腸が緊張・痙攣し、便を正常に送ることができなくなります。内分泌系ホルモンの乱れは、甲状腺疾患などが原因となりますが、代謝が低下します。内臓の運動は基礎代謝なので、代謝が落ちると腸の動きも低下して便秘となります。便秘になると有毒なガスが体を回りさらに代謝が悪くなり便秘が悪化します。

糖尿病による便秘や神経疾患による便秘は、ホルモン異常と同様に自律神経障害が原因となります。自律神経が乱れることで腸の蠕動運動が低下するため便秘となります。

薬剤性便秘

薬剤性便秘とは薬の副作用によっておこる便秘のことを指します。

抗がん剤、抗精神病薬、下痢止め、抗不整脈薬、咳止めなどの薬剤には腸の運動を抑制する副作用があります。腸の動きが低下すると、便を送り出す力が弱まるため、便秘となります。

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