キャラクターのイメージなどから厳つくて怖いイメージのあるブルドックですが、実際はとても穏やかで優しい犬種です。人間のエゴに翻弄されながら、また人間の愛に救われて人気犬種になったブルドックのすべてをご紹介します。
ブルドックの基本情報
ブルドックとフレンチブルドックはどう違う?
ブルドックとフレンチブルドックはどう違うのか?と思ったことはありませんか。
フレンチブルドックも元をたどればブルドックから生まれてはいますが、生まれた経緯は全く違います。
ブルドックをより深く知るためにもフレンチブルドックとブルドックの違いを比較してみましょう。
ブルドック
フレンチブルドック
ブルドックとフレンチブルドックとの違い
- 原産地:イギリス
- 体重:18~23kg
- 体高:30~38cm
- 原種:マスティフ系の犬種。
元は闘犬。 - 特徴:中型犬。
大きな顔、ずんぐりした体型としっかりした足腰。
皮膚のたるみや低い重心、上を向いた短い鼻は闘犬であったときの特徴を残している。 - 耳:ローズイヤーといわれる巻耳
- 原産地:フランス
- 体重:13kg
- 体高:28~33cm
- 原種:イギリスで改良された小型のブルドック
- 特徴:体は小さく小型犬だが、がっちりして筋肉質な体をしている。
短尾で鼻も短い。 - 耳:丸みを帯びたバットイヤーといわれる立ち耳
ブルドックに似ている犬種 パグ・ボストンテリア
パグ
ボストンテリア
ブルドックやフレンチブルドックと同じように見える犬種にはパグやボストンテリアがあります。
パグは中国、ボストンテリアはアメリカが原産国です。
それぞれ全く違う犬種なのですが、よく似た容姿から考えても、古く歴史を辿っていけばどこかで犬種が交わっている可能性は十分に考えられますね。
ブルドックの歴史
ブルドックの歴史には悲しい過去が・・・
ブルドックの歴史には悲しい過去があります。
13世紀から18世紀にかけてイギリスではブル・バイティング(牛いじめという意味があります)という闘技が庶民の娯楽として人気がありました。
ブル・バイティングは杭につないだ雄牛に数頭のブルドックを放ち、最初に牛の鼻に噛み付いたブルドックの飼い主には高い賞金が支払われるという、とても残酷な格闘技でした。
ブルドックはこの格闘技のために、より獰猛になるよう改良されていきました。
ブル・バイディングのために改良
牛に噛み付いた時、楽に呼吸ができるようにと鼻先が短く上に向くようになりました。
皮膚にたるみができたのは、牛の角が当たっても深く傷つかないためです。
噛み付いた牛に振り落とされないために、短足にすることで重心が低くなり、下顎を発達させることで噛み付く力を強くしました。
体重が重いほど有利なので、その頃のブルドックは60kgもあったといわれています。
温厚でやさしいブルドックになったワケ
1835年動物愛護の声が高まりこの格闘技が法律で禁止されました。
ブル・バイティングのためだけに改良された獰猛で特殊な体型のブルドックは、他の使役犬のような使い道はなく、血統存続の危機にさらされるようになります。
人間の欲のために翻弄されたブルドックですが、一部のブルドックを愛するブリーダーによって、保存のために改良され現在のブルドックが生まれました。
ブルドックの特徴を残しつつ、穏やかな性格の犬とかけ合わせることによって、獰猛さや攻撃性をなくし温厚で優しいブルドックになったのです。
闘犬としての長い歴史を持つブルドックは、改良後もイギリスでの認知度は高く人気があり、勇気・不屈・忍耐の象徴としてイギリスの国犬となりました。
またイギリス海軍のマスコットでもあります。
ブルドックの特徴
ブルドックは短毛種 がっちり筋肉質な体
ブルドックはスムースといわれる短毛種で、かなり厚い皮膚をもっています。
毛色はブリンドル、レッド、フォーン、ファローにホワイトの組み合わせや、マズルや顔がブラックのスマットといわれるものが多く、単色はあまり多くありません
体はがっちりとした筋肉質で、頑丈な顎の筋肉を支えるため首が太く、広い肩幅と大きな頭を持っています。
走ることを必要としなかったため、重心の低い短い前足は広がっていて体を左右に揺らして歩く独特な歩き方をします。
眠そうな目と潰れた鼻、たるんだ頬、突き出た顎(アンダーバイト)など、そのユニークな風貌がブサカワといわれ根強い人気があります。
ブルドックの耳
ブルドックの耳は内側が外を向いていて、ヒダの重なったところがバラの花のように見えるところからローズイヤーといわています。
バットイヤー(立ち耳)のフレンチブルドックとの違いで一番にあげられるローズイヤーですが、フレンチブルドックがヨーロッパで生まれた時はローズイヤーのフレンチブルドックも混じっていました。
その頃のヨーロッパではフレンチブルドックのバットイヤー(立ち耳)は人気がなく、フレンチブルドックがアメリカに渡ってから正式に認められるようになりました。
今ではブルドックのローズイヤー、フレンチブルドックのバットイヤーがスタンダードになっています。
ブルドックはスマートになってきている!?
2009年よりブルドックの犬種基準が変更になり、スマートなブルドックにするため、頬のたるみを減らして足を長めに体を細くすることが定められました。
ブルドックの価格相場
ブルドックの仔犬はいくつかの理由によって他の犬種の仔犬より高値で取引されます。
ブルドックの平均相場も30万~50万と高めですが、プレミアムな仔犬になると100万~200万以上の値がつくこともあります。
ブルドックの高値は難産のため
ブルドックは骨盤が小さい上に、胎児の頭が大きいので産道が通りにくく自然分娩ができません。
ブルドックの出産は全て帝王切開になるため費用がかかることや、死産なども多く出産頭数も少ない希少犬種であることから市場では高値で取引されることになります。
海外では人気の高いブルドック
海外と日本では住居の広さに違いがあり、マンションなどの集合住宅で飼われることの多い日本では小型犬が多く好まれますが、海外では大型犬を飼うことがひとつのステータスになっています。
特にイギリスでは出産頭数の少ないブルドックは人気が高く、「歩くダイヤモンド」と呼ばれ希少価値の高い犬種として高額で売買されています。
出産頭数の少なさや飼育環境などに経費がかかる上に、チャンピオンを親に持つ血統種になると平均相場の数倍の価格で取引されることもあります。
ブルドックの価格相場 ペットショップ
市場に出回る頭数が少ないためペットショップの店頭でブルドックを見られることは殆どありません。
そのため希望するブルドックを探して取り寄せてもらう必要があり、そのための費用が上乗せされるため平均価格より高くなります。
ブルドックの価格相場 ブリーダー
ブリーダーからブルドックを手に入れるためにはブルドック専門のブリーダーを選ぶことが大切です。
ブルドックの出産は自然分娩が難しく、ブルドックにとって体に大きな負担がかかります。
また、ブルドックは近親間での交配を重ねているため、遺伝的疾患を持っていることが多い犬種です。
そのため健康な仔犬を出産させるためにはブリーダーのブルドックに対する深い専門的知識と経験が必要になります。
健康なブルドックの繁殖に実績のあるブリーダーから生まれた仔犬は高額で取引され、また簡単には手に入れることができません。
ブルドックの性格・気質
ブルドックはおっとり マイペースな性格
ブルドックの性格はいかつい風貌からは想像できないほど温厚で物静かです。
おっとりした性格でのんびり過ごすことが大好きです。
飼い主に対しては忠誠心が強く忠実です。
心を許した家族には甘えん坊でやんちゃな一面も見られます。
大きな体ですが、子供に対しても優しく我慢強く相手をしてくれますので、子供のいる家庭でも安心して飼うことができます。
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