【動物看護士が解説!】犬の耳についてまとめ 犬の感情表現や耳のトラブルからケアまで

犬の耳のしぐさ 耳でわかる犬の感情

犬は人間みたいに言葉を喋ることができません。

しかし犬には、人間にも分かるような感情のサインを、全身を使って日々出しているのです。

愛犬の気持ちをなかなか分かってあげられないという人におすすめのサインの一つに、耳を見ることで感情が分かることもあるということです。

耳の角度や傾け方によって、愛犬の感情を読み取ることができます。

特に、立ち耳の犬なら垂れ耳の犬よりもわかりやすく現れます。
立ち耳の犬のしぐさをベースに説明していきますが、垂れ耳の犬でも、耳の付け根の動きを観察することによって、感情を読み取ることができるので、参考にしてみて下さい。

犬の耳が立っているが、力が入っていない時

基本的には、リラックスしている状態です。

特に何も思っていない時、リラックスしている時には耳の傾きはあまりありません。

これを愛犬の基本の耳の形ということを知っておくことで、他の感情が現れた時に比べやすくなります。

また、リラックスしていても耳は横へ向いたり後ろへ向いたりしますが、飼い主さんの会話や、慣れた生活音を聞いている場合が多いです。

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犬の耳が立っている時、前よりに向いている時

犬の耳が立っている場合は、基本的にリラックスしている場合が多いですが、前よりに向いていて力が入っていたり、ピクピク動いていたりする時は、何かに興味を示している状態です。

目に入ったものに対して興味を持ったら、耳を立てて耳から聞こえる音も情報として取り入れようとします。

また、犬がびっくりした時も、その状況を理解しようと力をいれて耳を立てます。

犬が耳を後ろに寝かしている時

耳を後ろに寝かしている時は、2つの感情を示している事が多いです。

好意を示している場合

1つ目は、嬉しい感情・好意を示している場合です。

これらは、服従心から来ている耳の動きです。

大好きな飼い主さんに褒めてもらえた時、好きな人や犬が近づいて来た時など、嬉しいときの感情が高ぶった時に、耳を後ろに寝かしていることが多いです。

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犬が警戒・緊張をしている場合

2つ目は、警戒心・緊張を示している場合です。

自分にとって、怖いと思っている人や犬、初めての場所や人や犬に危険と感じた場合に耳を後ろに寝かしていることが多いです。

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犬の表情の見分け方

この2つの感情の見分け方は、表情や態度ですぐに分かります。

嬉しい時は表情も穏やかで、喜んでいることが分かります。

反対に、警戒心が現れている時は、歯を出していたり、鼻の上に皺を寄せた怖い表情になっていたりします。

また、うなる犬もいます。
緊張しているときは、体はあまり動かず目がキョロキョロしたり、落ち着きが無くなったりします。

ちなみに動物病院へくる犬は、緊張している犬が多く、診察台に乗せると耳を後ろに寝かして固まる犬が多いです。

恐怖心が増すと、歯を出して威嚇してくる犬もいます。

 

犬の耳のトラブルとは?

犬は、耳のトラブルが多い動物です。

犬の聴覚は嗅覚の次に優れていて、人間の4~10倍ともいわれています。
犬にとって耳は情報を受ける大切な器官なのです。

しかし、耳のトラブルを起こしてしまうと、耳が聞こえづらくなったり、違和感や痒みや痛さがでてきたり、生活に支障をきたしてストレスにもなります。

耳のトラブルでも、見える所から、見えない耳の奥など様々です。

見えない所では、飼い主さんが気づかない場合もあり、症状が悪化することもあるので注意が必要です。

 

耳の役割・しくみとは

耳は音を捉える聴覚だけではなく、身体のバランスを保つ平衡感覚を司る、複数の機能を持つ感覚器です。

そのため、耳は音波を伝達する役割の伝音系器官および音を感知する感音器と、平衡感覚に関わる平衡器とよばれる器官から構成されています。

また機能とは別に、位置によって呼び方が決まっており、外耳、中耳、内耳に分類されています。

 

外耳とは

外耳とは、耳介、外耳道の総称で、耳から鼓膜までの部分です。

耳介は、犬の頭部から飛び出した、一般的に耳と呼ばれる部分になります。耳介の役割としては、主に外界の音を集めることになります。

犬の耳介は人の耳介と比べてよく動かすことができ、効率よく音を集めることができます。犬の聴覚が人間より優れる理由の一つとなります。

外耳道は耳介の中にあり、耳の穴にあたる部分です。外耳道の役割は、耳介で集めた音を鼓膜に伝えることになります。

外耳道には、脂腺や耳道腺などと呼ばれる分泌腺があり、そこから分泌液が出ます。

この分泌液は、耳の奥に異物が入らないようにする機能や、殺菌機能、乾燥を抑える機能などがあると言われています。

この分泌腺と外部から入った異物や皮脂などが混ざったものを耳垢と呼びます。

 

中耳とは

中耳とは、鼓膜、鼓室、耳管の総称で、鼓膜より内部の位置にあります。

中耳の役割は、外耳から伝達された音を適度な強さの振動に変換して中耳の先にある内耳に伝達することです。

中耳の最も外側には鼓膜という膜があり、鼓膜は、外耳道と中耳の境にあります。鼓膜は外耳から中耳へ音を伝える役割があります。 

鼓膜の奥には鼓室と呼ばれる空間があり、鼓室の中にはツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨と呼ばれる3つの小さな耳小骨があります。

これらの耳小骨は、より奥にある内耳に向かって繋がっており、その役割は、鼓膜によって振動に変換された音を、そのまま内耳に伝えることです。

耳管は、鼓室と外界をつなぐ管で通常は閉鎖してします。耳管の役割は、鼓室内と外界の気圧が違った場合、開いて、鼓膜内の気圧を調節することです。

 

内耳とは

内耳とは、骨迷路という管道とこの骨迷路に包まれている膜迷路という嚢から形成されていて、一番脳に近い位置にあります。

骨迷路は、前庭、蝸牛、聴神経から形成されています。

前庭は、鼓室の中にあるアブミ骨から受け取った振動を蝸牛に伝達する場所になります。

また、平衡感覚に関係する器官を内包しています。

蝸牛はカタツムリのようにグルグル巻きの器官で、奥になるにつれてその径は小さくなります。

そのため奥と手前で高音と低音を分けることができます。

この蝸牛で分離した高音・中音・低音を、聴神経からそれぞれ脳に伝えることによって高い音、低い音を聞き分けています。

このように耳は非常に複雑な構造になっており、音を聞き分けることや平衡感覚を整えることができます。

 

 

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