【動物看護士が解説!】犬の耳についてまとめ 犬の感情表現や耳のトラブルからケアまで

犬の耳のトラブルの原因と理由

犬の耳のトラブルの原因はいくつもあります。常在菌のバランスの崩れ、細菌の増殖、耳の中の炎症や腫瘍、耳ダニ、アレルギーなどです。

常在菌のバランスの崩れは、耳にいつも存在する常在菌が急に増えたり減ったりすることです。特にあるのは、マラセチア菌の増殖です。

マラセチア菌に関する外耳炎は後で詳しく説明しますが、正常な皮膚にも存在するマラセチア菌が増殖するとフケや脂漏、かゆみ、炎症が起こります。

皮膚のどこでも起きますが、耳には特に起きやすい特徴があります。

菌の増殖以外でも起きる耳の炎症や腫瘍も原因の一つです。

炎症が起きたり腫瘍ができたりすると痒みや違和感で耳を触ったり引っかいたりするので、耳の状態はさらに悪化します。

腫瘍以外にも耳ダニやアレルギーで耳に炎症が起こる場合もあります。

その他、耳の中の湿気(入浴や水泳によって耳の中に水が入ることが原因となることも)や、耳掃除をせず耳の中が不潔になることによって炎症に繋がることもあります。

日常の耳のケアによってもトラブルは発生するので注意が必要です。

 犬の耳のトラブルから考えられる犬の耳の病気

パグ,風邪

犬の耳の病気 外耳炎

犬で最も多い耳の病気は外耳炎です。

外性炎はその名の通り、外耳道の炎症です。外耳道には、皮脂腺やアポクリン腺があり、耳垢となる分泌液がでます。

正常な耳垢は耳の中の湿度を正常に保つ働きをします。

しかし、アポクリン腺が増加することによって、耳の中の湿度のバランスが崩れて、感染や外耳炎を引き起こします。

湿度が高くなると、マラセチアという常在菌やグラム陰性菌が感染や増殖し、べっとりとしたクリーム色や緑色、黒っぽい色をした耳垢がたまります。

これが、犬の耳からの臭いの原因になります。

また、菌以外にも、アレルギー性の外耳炎などもあります。

そして、耳ダニが耳の中に感染、寄生している場合も強いかゆみを伴いますので、外耳炎を引き起こしします。

外耳炎の症状は、耳垢が増えたり、耳からドロッとした液体がでたり、耳から強いにおいがしたりします。

愛犬が、頭を振る、耳を掻く、耳をこすりつけるなどの行動を取り出したら要注意です。

 

外耳炎の種類

外耳炎には様々な種類がありますが、ここでは代表的な4種類を挙げます。

アレルギー性外耳炎

アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎などの過敏症に併発して起こる外耳炎のことをいいます。

何らかのアレルゲンが原因でおこったり、皮膚疾患に伴って生じたり、点耳薬などを長期間使用することによって体に合わなければ生じることもあります。

アトピーなどの過敏症では、外耳道や耳介の赤みや浮腫、分泌液の過形成などが認められます。

 

脂漏性外耳炎

耳道内の皮膚が過度に硬くなったり(角化)耳垢腺の分泌異常によって耳垢が蓄積したりすることによって起こる外耳炎のことをいいます。

大量の耳垢が溜まる、耳の中がべっとりしている、脂漏性の耳垢などの症状があります。

かゆみや痛みを伴わないこともあるため、愛犬が耳を掻いたり頭を振ったりするなどの行動をとらずに気づかないこともあります。

脂漏性外耳炎では細菌や炎症性の細胞が検査で見られることはほとんどありません。

 

細菌性外耳炎

緑膿菌というグラム陰性菌が耳の中で感染を起こしておこる外耳炎です。

その原因は、外耳道の炎症、耳の中の湿度が高い、耳の中のpH上昇などがあります。

アポクリン腺からの分泌が亢進し、耳の中の湿度が高いなどの環境は細菌性外耳炎を引き起こしやすい傾向にあります。

耳垢が増えかゆみ、痛みが伴うことがあり、症状が進行すれば潰瘍も見られることがあります。

 

マラセチア性外耳炎

マラセチアとは、皮膚に通常にいる常在菌で、酵母菌の一種になります。耳の中に多く存在します。

健康状態のときは病原性を示しませんが、免疫力が低下した時にバランスをくずして病原性を表します。

免疫力の低下以外は耳の状態に依存します。具体的には、耳道の湿度の状態です。

マラセチアは耳の湿度が高い状態で増殖しやすい特徴があり、入浴や水泳などによって耳の中に水が入ることで増殖する場合もあります。

マラセチアは、常在菌なので完全にいなくなることはありません。

 

外耳炎になると、臭いや耳垢が気になるところですが、家で掃除をしすぎると外耳道を傷つける場合もありますので、動物病院で掃除をしてもらって下さい。

家でのケアは、獣医師の指示のもとで点耳薬を指したり、耳の見える所を拭いてあげたりする程度がいいです。

犬の耳の病気 中耳炎

中耳炎は、中耳に起こる炎症で、多くは外耳炎から広がって発症します。


症状や耳垢は外耳炎と同じなので見逃してしまうことも多いです。

外耳炎よりも痛みを感じることもあり、まれに首が傾いたり、眼振が起こったり、動きが正常でないという症状がでることがあります。
中耳炎を放っておくと、脳に感染してしまい膿瘍や脳髄炎を引き起こすこともあります。

犬の耳の病気 内耳炎

内耳炎は、内耳に起こる炎症で、外耳炎や中耳炎から広がって発症します。

症状や耳垢は外耳炎や内耳炎を発症していることが多いため、同じ症状の場合がほとんどです。

内耳は、脳に近いことから、傾斜、眼振、足の運動失調がみられます。

また、半規管もあることから、平衡感覚を失い、しっかり立ったり歩いたりできなくなることもあります。
最近では、CTMRIなどの検査で診断がつくようになっています。

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