【動物看護士が解説】犬のクッシング症候群の症状と原因から治療法。飼い主さんができる予防法について

犬,ポメラニアン

犬のクッシング症候群の症状

クッシング症候群とは、別名、副腎皮質機能亢進症と呼ばれるホルモンの過剰分泌によって、様々な症状がみられます。どのような症状が出てくるのか、挙げていきます。

多飲・多尿

クッシング症候群の一番多くみられる症状は、この多飲・多尿です。クッシング症候群を発症すると、のどが渇くようになり水を大量に飲みます。大量に水を飲むために、尿の量や回数が増えます。この症状は、飼い主さんも比較的気が付きやすい症状です。

肥満

クッシング症候群の症状の一つに、多食もあります。ホルモンの病気のために、ホルモンバランスが崩れてお腹もすくようになり、普段よりもよく食べるようになったり、1日量よりも食べ物をやたら欲しがるようになったりします。そして、クッシング症候群になっていることに気が付かずに食べ物を多く与えると、肥満に繋がります。

皮膚が薄くなる

皮膚が薄くなるという症状は、クッシング症候群の特徴的な症状の一つです。毛艶もなくなり、皮膚の質感が変わっていくのが分かります。触った感じも薄くなっているというのが実感できるようになってきます。

左右対称の脱毛

左右対称の脱毛という症状も、クッシング症候群の特徴的な症状の一つです。通常の皮膚病などからくる脱毛はきれいに左右対称になることは少ないです。クッシング症候群の左右対称の脱毛は、背中の毛に分かりやすく出ます。だんだん毛が薄くなり、毛質も変わってきます。

腹部膨満

腹部膨満という症状もまた、クッシング症候群の特徴的な症状の一つです。症状がひどければ、お腹が地面についてしまうほど下に垂れてくるので、特徴的な体型になります。これは、体の筋肉が脱力や萎縮、筋力が落ちてくるために、内臓を筋力で支えられなくなったり、足の筋力が落ちてきたりします。これを、クッシング体型とも呼ばれます。

パンティングが増える

パンティングとは、通常運動した後や熱い環境下において、体温調節を行うために口を開けてハアハアと呼吸をすることをいいます。クッシング症候群の症状の一つとして、このパンティングが増えることもあります。

神経症状

クッシング症候群の状態が悪いと、発作やふらつき、意識障害などの神経症状がみられることもあります。

他の病気の併発

クッシング症候群を発病していると、糖尿病や甲状腺機能低下症などの他のホルモンの病気を併発する可能性が高くなります。併発すると、それらの病気の症状も同時に見られるようになります。

犬のクッシング症候群の原因

クッシング症候群の原因は、副腎という腎臓の上にある内分泌器官からコルチゾールというホルモンが慢性的に過剰に分泌されることによって引き起こされます。

また、脳の内分泌器官である下垂体というところに、腫瘍ができたり何らかのトラブルが起こったりすることによって正常に機能しなくなり、ACTHという副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌されることによる、下垂体性の原因が80~90%を占めるといわれています。

そして、副腎自体に腫瘍ができることによって正常に機能しなくなる原因が10~20%を占めるといわれています。