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アイリッシュウルフハウンドは、アイルランドを原産とする超大型犬です。
オオカミから家畜を守ることを目的に大型化された犬種で体高は80cmを超え、あらゆる犬種の中で最も大きな体高を持つと言われています。
その大きな体に似合わず穏やかな気性をしていることから、ペットとしても人気があります。
アイリッシュウルフハウンドの歴史
アイリッシュウルフハウンドの歴史
~ルーツ~
アイリッシュウルフハウンドの祖先犬は、紀元前273年前頃から存在しており、紀元前14世紀から15世紀頃にアイルランドに渡ってきたと考えられています。
最初の記録に残っているのは、紀元前391年のローマへ献上された内容のもので、当時は闘犬として活躍しラインオンやトラをも相手に戦う勇敢な犬として「すべてのローマ人が驚きを持ってみた」という文章が残っているそうです。
その後のアイルランドでは、オオカミから家畜を守るための犬としてこの犬を大型化することになりました。
体重800kgものヘラジカを仕留める猟犬としても活躍し、現地の言葉で勇敢な猟犬を意味する「ク・フォアイル」と呼ばれていたそうです。
また、大型化と同時に農家でも飼いやすいよう従順で辛抱強い性格も与えられました。
勇敢な猟犬としても優秀で、さらに扱いやすい性格を持っていることからも尊ばれ、民話や伝説にも多く伝えられており、ヨーロッパ貴族などの裕福な家庭で人気がありました。
アイリッシュウルフハウンドの歴史
~新生アイリッシュウルフハウンドの誕生まで~
その後18世紀中頃、オオカミの駆除が進められることになるとアイリッシュウルフハウンドは活躍の場を失くし、その数を大幅に減らしていくことになりました。
さらに追い打ちをかけるように1845年のアイルランドを襲った大飢饉によってアイリッシュウルフハウンドは絶滅寸前まで追い詰められてしまいます。
しかしその後、熱心な愛好家であったスコットランド出身の陸軍大尉グラハム氏によって、復活が図られることになります。
数少ない純血種を保護し、性質の似たボルゾイやグレートデン、スコティッシュディアハウンドなどの犬種と掛け合わせることで近親交配を避けながら個体数を増やしていきます。
そして、1870年代にはドッグショーに出陳されることになりました。
そのドッグショーで新生アイリッシュウルフハウンドの風格ある姿と優しい性格が好評を受けることになります。
そして、この時の犬が犬種標準(スタンダード)として設定され、1885年にアイリッシュウルフハウンドクラブが設立、その後1925年にはイギリスのケネルクラブで犬種として認定されました。
アイリッシュウルフハウンドの特徴
- 世界で最も大きな超大型犬
- 速さと力強さを兼ね揃えた犬
- 硬い毛質の中長毛
- 毛色は、グレーやレッド、フォーンなどブリンドル。他にもブラック・ピュアホワイトなど
特徴① ~大きさや身体的特徴~
アイリッシュウルフハウンドは、体高76~86cm体重48~55kgの超大型犬です。
個体によっては体高が100cmを超えることもあり、「世界で最も大きな犬」として取り上げられることも多い犬種で、体の大きさがこの犬種の最大の特徴となります。
サイトハウンドの特徴が強く引き継がれており脚や首が長く、兄弟犬ディアハウンドと類似点が多いです。
歩く様はゆっくりで優雅さを感じさせますが、ひとたび走り出せば力強くも俊敏です。
「1頭だけでオオカミに対峙できるのはアイリッシュウルフハウンドただ一犬種」だと言われているほど、速さと力強さ、勇敢な心を持ち合わせています。
特徴② ~被毛の種類や毛色~
被毛は、剛毛で粗い毛質をした中長毛で、特に目の周りやあごにはワイヤーのような硬い被毛を持っています。
この毛並みで寒さや湿気、さらにはケガからも身を守っていました。
毛色は豊富なバリュエーションがありますが、グレーやレッド、フォーンを中心にブラックや褐色が入っているブリンドルなどがあります。
その他にも、ブラック、ピュアホワイトなどもあります。
アイリッシュウルフハウンドの価格相場
子犬の価格相場
アイリッシュウルフハウンドの子犬の販売価格は25~35万円程度です。
国内では、希少な犬種なうえ繁殖までにかかる費用も高くつくことが多いため、子犬の販売価格も高く設定されるようです。
価格相場の違い
一般的に子犬の販売価格は、その犬の「血統」「容姿」「月齢」「性別」「毛色」などから価格が決められています。
◆血統
価格が決まる上で最も大きな要因になるのが「血統」です。
親犬がチャンピオン犬などの血統の良い子犬の場合には100万円に近い価格が付けられることもあるようです。
◆毛色
希少かつ人気カラーである「ホワイト」の毛並みを持つ場合には50万円を超えることがあるようです。
◆性別(大きさ)
アイリッシュウルフハウンドを購入する上で、最大の特徴である「大きさ」は重要な要素となります。
そのため、メスよりもオスの方が大きくなるため比較的小さなメスのほうは価格が安くなるようです。
◆その他
アイリッシュウルフハウンドは、「股関節形成不全」を起こしやすい犬種です。
遺伝的な疾患であるために、子犬を選ぶ際には親犬にこの病気がないかなど健康に関する情報を確認しておくことをおすすめします。
中にはすでにブリーダーさんによってそれらの疾患の検査を終えている子犬がいます。
その場合には、検査分としての費用が入って販売価格もやや高くなっていることもあるようです。
子犬はブリーダーから
アイリッシュウルフハウンドは、希少な犬種なうえ、生後4か月の時点ですでに体重20kg前後にもなる超大型犬のため、ペットショップでの展示販売には向いていません。
子犬を迎える場合には、ブリーダーからの購入が一般的となります。
できればアイリッシュウルフハウンドを専門に繁殖を行っているブリーダーから購入することをおすすめします。
それでも国内にはブリーダーの数も多くはないため、海外からの輸入も視野に入れておいた方が良いでしょう。