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基本的には健康的な犬種ですが、かかりやすい病気もあり、さらにコモンドールの体質に適さない高温多湿な日本での飼育では気を付けなくてはいけない病気もいくつか出てきます。
大型犬に好発しやすい「股関節形成不全」や「胃捻転」、さらに独特な毛質から「皮膚病」に注意しなければなりません。
また、顔の毛を伸ばすことも多いため「眼疾患」などにも注意しなければなりません。
コモンドールの注意する病気①
~股関節形成不全~
股関節形成不全は先天的な病気で、股の関節が異常に変形している状態のことです。
成長期の急激な体重の増加と活発に動くことで骨と筋肉のバランスが崩れ、生後6カ月頃から徐々に異常が見られるようになり、不自然な歩き方をする症状が見られます。
軽症であれば安静に過ごすことで関節が正常に成長するのを待ちますが、重症の場合には外科手術が必要となります。
親犬に股関節の異常が見られないかを確認することも大切ですが、子犬の頃から食事と運動のバランスをしっかり管理して、異常にすぐ気付けるよう日々観察していきましょう。
コモンドールの注意する病気②
~胃捻転~
大型犬に発症しやすい、胃がねじれてしまう病気です。
胃がねじれると周囲の血管や消化機能に影響を与え、胃の中でガスを発生させながら胃が膨らみ周囲の臓器まで圧迫します。
ショックを起こすことによって最悪の場合死に至る病気です。
原因は詳しく分かっていませんが、加齢や、早食い早飲み、食後すぐの運動などによって発症しやすくなると言われており、発症は食後数時間経ってから、夜中~明け方に多い傾向があるようです。
腹部が膨らんで見える、嘔吐やゲップ、吐こうとしても吐けない、水を大量に飲む、食欲不振などの症状が見られます。
症状が現れたら、例え夜間であってもすぐに動物病院に連れて行きましょう。
コモンドールの注意する病気③
~皮膚病~
日本の高温多湿の環境は、厚い被毛に覆われたコモンドールにとって皮膚病を起こしやすい環境です。
ダニ・ノミ寄生や真菌性・細菌性皮膚炎、脂漏症などに注意しましょう。
しきりに体を掻きたがる、皮膚にかゆみや赤み、脱毛などの症状が見られます。
日頃から皮膚を清潔に保つことで予防ができる病気ですので、こまめにお手入れをしてあげましょう。
コモンドールのミックス犬
近年人気の高いミックス犬ですが、コモンドールは純血種でも国内で見かけることがほとんどない希少な犬種です。
そのため、ミックス犬においても国内で飼われていることは、確認できませんでした。
しかし、地元ハンガリーを中心としたヨーロッパでは、コモンドールのミックス犬も多くはありませんが存在しているようです。
ミックス犬①『コモンドール×カンガールドッグ』
別名「カラバシュ」とも呼ばれる超大型犬「カンガールドッグ」とのミックス犬です。
コモンドール同様、家畜の護衛に使役されていた大きくて強い犬種です。
カンガールドッグは短毛の毛質をしているため、どちらの犬種に似るかによっても全く異なる印象になるでしょう。
コモンドールを飼うのに向いている飼い主は?
コモンドールは、見た目通りの特殊な犬種です。
そのため初心者が飼育するのは難しく、上級者向けの犬種だと言えるでしょう。
また、北海道や東北などの涼しい地域でない場合の飼育も難しいと言えます。
それだけでなく、コモンドールのリーダーとなってしつけがしっかりと行える人、さらに特徴的な被毛のお手入れや十分な運動の時間が確保できる人に向いている犬種です。
もちろん体重40~60kgもの大型犬ですので、エサ代やトリミング代などの飼育費用も嵩張ります。
さらに日本の気候に適さないため、ほとんど年中、空調管理が必要にもなってくるため、電気代も考慮しておいた方が良いでしょう。
そういった点から、経済的余裕があるかどうかもコモンドールを飼う上での必須条件となるでしょう。
マンションでも飼育できる?
コモンドールは、その体の大きさからもある程度広い飼育スペースが必要ですが基本的には穏やかに物静かに過ごすことが多いため、マンションでも飼育できないことはないようです。
しかし、鳴き声も大きく吠え癖がつきやすい点には、十分に注意しておかなければならないでしょう。
小さな子どもや高齢者がいる家庭でも飼育できる?
飼い主家族に対してはとても愛情深く穏やかな犬種なので、小さな子どもさんや高齢者がいらっしゃるご家庭でも飼育することはできるでしょう。
特に子どもなどを自分よりも弱い立場だと認識すると、優しく接し守ろうとする特徴も見られるようです。
コモンドールとプーリーの違い
巨大なモップのような外見を持つコモンドールですが、同じくモップのような外見を持つ「プーリー」という犬種があります。
コモンドール同様、ハンガリーを原産とする犬種で、家畜を守るための犬として作出された犬種です。
ただし、コモンドールとは体のサイズに違いがあり、大型のコモンドールに対し、プーリーは体重10~15kg程度の中型犬に当たります。
また、毛色がアイボリーに限られるコモンドールとは異なり、プーリーには黒一色、白、グレイ、クリームの毛色を持つ個体が存在します。
同じハンガリーで牧畜犬として家畜を守ってきた両犬種ですが、役割はそれぞれ異なり、家畜を襲おうとするオオカミなどの外敵からの危険を察知したプーリーが周囲へ呼びかける役割を担い、それを聞きつけたコモンドールが外敵と戦うという役割分担がされていたそうです。
この記事のまとめ
- モップのような外見の大型犬
- 性格:基本的には物静かで穏やかだが、時に勇敢でたくましい犬。支配欲・警戒心が強い。
- 被毛:巻き毛やウェーブがかった粗い長毛種
- 毛色:アイボリー(象牙色)に限る
- 気を付けたいしつけ:支配欲の強さに注意。飼い主がリーダーとなること。吠え癖に注意。
- 注意したい病気:「股関節形成不全」「胃捻転」「皮膚病」「眼疾患」など
- 子犬の販売価格:50万円程度。入手方法は海外輸入が一般的。
- 平均寿命:だいたい10~12歳
- 日本の気候に適さない犬種。飼育には気温の十分な配慮が必要。
- 初心者向き犬種ではなく、お手入れ・しつけに自信のある上級者向けの犬種。
コモンドールについて さいごに
コモンドールは、日本の気候に合わない体質を持ち、独特な被毛の手入れに要する時間や飼育するための環境作りに時間も費用も要す犬種です。
性格面からも飼育するのが難しい犬種だと言えるでしょう。
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