1944年1月、ミドルセックス州のボスケナーに住むウィルソン夫人は使役犬のトレーニングに興味があり、仲買人にシェットランドシープドックを注文しました。
その時にはシェットランドシープドックが見つからず、仲買人から紹介され譲り受けたのがメスのビアデッドコリーでした。
ウィルソン夫人はそのビアデッドコリーにジーニーと名付け愛情をかけて育てました。
ビアデッドコリーの優秀さや活発で優しい気質に惹かれたウィルソン夫人は、ビアデッドコリーが絶滅寸前であることを知り、自ら繁殖をしようとしましたがなかなか交配相手を見つけることができませんでした。
ある日、ウィルソン夫人がブライトンの海を散歩中に、偶然オスのビアデッドコリーのバリーと出会います。
このバリーとジーニーによって再びビアデッドコリーの繁殖が始まり、絶滅の危機から奇跡の復活を遂げるのです。
現存するビアデッドコリーのほとんどがこのバリーとジーニーの子犬の血を引き継いでいるといわれています。
ビアデッドコリーの特徴
牧羊犬であったため外見の雰囲気とは違いがっしりした体をしています。
体高より体長のほうが長く引き締まった筋肉を持っています。
頭は大きくやや角張っておりストップがあります。
顔全体と全身が柔らかい長毛で覆われているのが大きな特徴です。
マズルと脚は短めですが、体力もあり身体能力も優れています。
耳は垂れ耳、尻尾は垂れ尾で耳と尻尾には飾り毛があります。
ビアデッドコリーの被毛と毛色について
●ビアデッドコリーの被毛について
ビアデッドコリーの被毛はダブルコートの二重構造で被毛の量も大変多く、顔から全身を覆っています。
ビアデッドコリーのオーバーコート(上毛)は真っ直ぐで粗く紫外線や寒さを防ぎ、細くふわふわした綿のようなアンダーコート(下毛)は水を弾くことができるため雨の中でも体温を保つことができます。
ダブルコートの被毛は年2回ある春期と冬期の換毛期には大量の抜け毛が出ます。
●ビアデッドコリーの毛色について
ビアデッドコリーの毛色はさまざまな色合いのグレー、スイート・グレー、ブラック、ブルー、ブラウン、赤みかかったフォーン、サンディなどがあります。
生まれたばかりのビアデッドコリーは、黒やブラウンなど単色の被毛をしていますが、成長するにつれて白い被毛が増え、成犬になると白×グレーや白×ブラウンなどの混色になります。
顔や尾の付け根などにわずかにタンが入ることがあります。
ビアデッドコリーの性格・気質
ビアデッドコリーはやんちゃな甘えん坊
ビアデッドコリーは牧羊犬だったため、とても活発で明るい性格の持ち主です。
大きな体をしていますが遊ぶことが大好きで、人懐っこく誰とでもすぐに仲良くできます。
飼い主にはとても甘えん坊でよくなつきます。
やんちゃないたずら好きで可愛いのですが、甘やかしすぎるとハメを外ししまうので注意が必要です。
他の牧畜犬のように吠えることが少ないので子供とも上手く遊ぶことができます。
ビアデッドコリーは知的で判断力にも優れている
家では甘えん坊なビアデッドコリーですが、落ち着いたところも持ち合わせています。
状況判断ができる犬なので、知らない場所やしらない人や犬がいるところではとても落ち着いた知的な行動をとります。
飼い主には従順で家族に対する愛情も深く、危険から家族を守ろうとする意志の強さを持っています。
また頑固な一面もあるので自分が納得しないと動かないことろもあります。
ビアデッドコリーの飼い方・しつけ
ビアデッドコリーを飼う環境を整えよう!
ビアデッドコリーは中型犬ですがかなりの大きさがあります。
大きな犬を家の中で飼うにはそれなりに環境を整える必要があります。
子犬の頃はサークル(50cm以上の高さのあるもの)にタオルなどを敷きつめてやるだけでかまいませんが、5ヶ月を過ぎたら寝床としてサークル以外に大型のケージやクレートを用意してあげましょう。
また、いたずら好きなのでこの頃から家の中のものを齧ったりし始めます。
靴やスリッパなど齧られて困るものは届かない所に上げたり、家具などにはしつけスプレーを使ったりしていたずら防止をしましょう。
ビアデッドコリーは寒さには強い犬種ですが、暑さにはとても弱く夏の室内での温度管理には十分気をつけましょう。
犬は寝床が汚れるのを嫌いますから、トイレトレーは寝床やサークルから離れたところに設置します。
トイレのしつけは子イヌの頃から失敗しても叱らず、焦らず、根気よく教えるのがコツです。
中型犬以上の犬は排泄を室外で済ませることが多いのですが、雨の日や老犬になった時のことも考えて室内でも出来るようにしておきましょう。
ビアデッドコリーに運動は不可欠!
牧羊犬としてとても優秀だったビアデッドコリーには十分な運動量が必要です。
1日2回1時間以上のランニングを含めた散歩をさせましょう。
それでも若犬の場合は運動不足になりがちなので、定期的にドックランで走らせたり、アジリティなどのスポーツに挑戦させたりするのもいいでしょう。
また室内でボールを咥えて持ってこさせる繰り返し運動なども喜びます。
人や犬が好きなので、散歩中などにじゃれて飛びつくことがよくありますが、力が強く子供などは倒れてしまうことがあるので、しっかりとリードを持っている必要があります。
ビアデッドコリーのしつけのポイントは主従関係の確立!
ビアデッドコリーはとても従順で頭の良い犬種なので、信頼関係が出来ていればしつけはそんなに難しくありません。
但し、とても甘えん坊でいたずら好きなところがあるので、甘やかしすぎる
とわがままになり手に負えなくなることもあります。
子犬の頃からしっかりと主従関係を確立しておくことが大切です。
また意思が強く頑固なところがあるので、なかなか言う事を聞かないときもありますが根気よくしつけましょう
飼い主にべったり甘えるので、子犬の頃には分離不安気味になることもありますが、成犬になるにつれて長い留守番もできるようになります。
ビアデッドコリーのお手入れ
ビアデッドコリーの被毛のお手入れについて
ビアデッドコリーのお手入れで一番大変なのは被毛のお手入れです。
ビアデッドコリーは顔から全身がダブルコートの被毛で覆われているので毎日のブラッシングは欠かせません。
ブラッシングはピンブラシを使って全体を梳かしてから、金櫛で細い下毛を丁寧に梳かしていきます。
スリッカーは毛が切れてしまうので長毛のビアデッドコリーには向いていません。
ビアデッドコリーのシャンプーについて
シャンプーは1ヶ月に1度、専用のシャンプーとコンディショナーを使って洗ってあげましょう。
体が大きく被毛も多いので乾かすのは大変ですが、十分にタオルドライした後はドライヤーを使って毛の根元から毛先に向かって指や櫛を使って毛を逆立てながら乾かします。
完全に乾かすまでには1時間以上かかります。
自宅で洗う自信がないときはトリミンングサロンでしてもらうこともできますが、1回のシャンプー代に5,000~1,0000円程度かかります。
ビアデッドコリーは犬種標準によってトリミングをしてはいけない犬種と定められています。
トリミングサロンにシャンプーを依頼したらテリアのようにカットされて帰ってきた・・ということにならないように、トリミングサロンにはそのことを前もってしっかり伝えておきましょう。
また、ビアデッドコリーの長い被毛は断熱の役目をしているので、夏で暑いからとサマーカットにするのは逆効果です。
ビアデッドコリーの耳掃除・歯磨き・爪切りについて
ビアデッドコリーは垂れ耳なので定期的な耳掃除が必要です。
綿棒にイヤークリーナーをつけて耳の中(見えているところのみ)を掃除します。
綿棒をあまり奥まで入れると逆に耳垢を奥に押し込んでしまう恐れがあります。
耳の中に毛が生えているときは毛抜きで抜いてやりますが、できないときは獣医師さんにしてもらいましょう。
歯磨きは犬用の歯ブラシを使いますが、慣れるまでには時間がかかります。
指にガーゼを巻いて拭いてやることから始めて少しずつ慣らしていきましょう。
歯石がたまってしまったら、獣医師さんにスケーリングをしてもらいます。
爪切りは爪が伸びきらないうちに切ってあげましょう。
爪には血管が通っているので切りすぎには注意が必要です。
ビアデッドコリーは体も大きく元気な犬種なので、耳掃除や爪切りは慣れないと大変です。
自分でやる自信がないときは獣医師さんにお願いするのもいいでしょう。
ビアデッドコリーの注意する病気
ビアデッドコリーは多毛で長毛ということもありますが、遺伝的に皮膚疾患に罹りやすい犬種です。
また顔が被毛で覆われているため目の病気になりやすい犬種でもあります。
ビアデッドコリーが罹りやすい病気について調べてみました。
ビアデッドコリーの注意する病気その① アレルギー性皮膚炎
ビアデッドコリーはアレルギー性皮膚炎になりやすい犬種です。
特に花粉やほこりからのアトピー性皮膚炎が多いといわれています。
湿疹や痒みなどで体を掻いたりするときは獣医師の診察を受けましょう。
アレルギーを根本的に治すことはできませんが、できる限りのアレルゲン除去や投薬などの対処療法があります。
ビアデッドコリーの注意する病気その② 膿皮症
膿皮症は細菌の感染により皮膚が炎症をおこす皮膚疾患です。
長毛で多毛なビアデッドコリーのような犬種に多く、毛が蒸れることにより細菌が繁殖し発症します。
発疹、皮膚の赤み、部分的に多発する抜け毛、湿疹からの出血、執拗に体を掻くなどの症状がある場合はすぐに獣医師の診察を受けましょう。
治療は抗生物質の投与、薬浴、薬用シャンプーによる洗浄などがあります。
ビアデッドコリーの注意する病気その③ 角膜炎
角膜炎は目の角膜に傷がつくことで炎症をおこす眼疾患です。
ビアデッドコリーは顔を被毛が覆っているので、目に被毛が入りやすく角膜を傷つけやすいので注意が必要です。
目が充血したり、目をしばしばさせたり、痛みから目を開けられなくなったりします。
治療は点眼薬の投与があり、重症の場合は外科手術も行われることがあります。
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