【動物看護士が解説!】愛犬がてんかんを起こしたら!?原因や症状、対処法。治療方法から考えられる病気

犬の症候性てんかん

症候性てんかんとは、頭蓋内性のてんかんともいわれ、検査で大脳になんらかの異常が見つかるものです。
歳をとってから、初めててんかんを起こす犬にみられる特徴です。

犬の頭蓋外性てんかん

頭蓋外性は、脳が原因でない場合のてんかんです。

犬のてんかんの原因

犬の特発性てんかんの原因

犬の特発性てんかんの原因は、遺伝的や先天的なものが多いといわれています。
特発性てんかんが起こりやすい犬種は、ダックスフント・アメリカンコッカースパニエル・トイプードル・ゴールデンレトリバー・ラブラドールレトリバー・ミニチュアシュナウザーなどが挙げられます。

犬の症候性てんかんの原因

犬の症候性てんかんの原因は、脳の病気が原因の場合です。
症候性てんかんを起こす場合は、脳内の病気や何らかのトラブルが起こっている場合です。

犬の頭蓋外性のてんかんの原因

犬の頭蓋外性のてんかんの原因は、内分泌や代謝性の病気や、毒物を摂取した時に起こる場合です。

てんかんが起こる仕組み

てんかんが起こる仕組みは、神経の異常にあります。

犬の体には神経が張り巡らされていて、その中を弱い電気信号が通ることによって様々な情報処理をします。

特に脳内には様々な種類の、多くの神経細胞があり、目で見たもの、耳で聞こえたもの、味、においなどすべての感覚を神経を通して脳に伝えられます。

そして、足を動かしたり、吠えたり、食べたりという行動は、脳から神経を通して体に働きかけます。

このように犬にとって神経とは、体をコントロールする大切な組織なのです。

この神経に、何らかの原因から過剰に電気信号が発生することによって、乱れや興奮が起こります。

そうすると、脳が正常に情報を受け取れなくなったり、正常に体に働きかけることが出来なくなったりしてしまうのです。
この時に体に起こっている異常がてんかんです。

柴犬

犬のてんかんの症状

犬のてんかんの症状は、犬によって様々ですが、大きく分けて5つの種類があります。

犬のてんかんの症状① 間代発作

一つ目は、痙攣のような状態で、手足が一定のリズムで曲がったり伸びたりする「間代発作」と呼ばれる症状です。

何の前触れもなく急に、手足をバタバタさせる遊泳運動をしたり、体の一部がビクビクしたり、震えだしたり、口をクチャクチャしたりします。

犬のてんかんの症状② 強直発作

二つ目に、手足が突っ張って、体が硬くなる「強直発作」と呼ばれる症状です。

寝ている間に手足がつっぱったりする症状です。これは、伸筋という筋肉の過度な緊張が起こる症状で、まず横に倒れます。

その後、筋肉の過度な緊張と筋肉の緩みが交互に起こるようになり、最終的に筋肉のつっぱりが起こります。

犬のてんかんの症状③ 欠伸発作

三つ目に、突然短時間の意識を失う「欠伸発作」があります。意識を失うように急にバタンと倒れておしっこやうんちを漏らしてしまうことや、目の焦点が合わなくなること、よだれが大量にでることなどがあります。

犬のてんかんの症状④ ミオクロニー発作

四つ目に、全身や手足が一瞬ぴくっとする「ミオクロニー発作」

犬のてんかんの症状⑤ 複雑部分発作

があり、五つ目に、感覚や感情の変化、行動の変化などが表れる「複雑部分発作」があります。

これらの症状が起きている間は、意識はなく、目は開いたままですが、焦点は合いません。そして、数秒~約2分以内その状態が続きます。

発作が治まれば、しばらく意識が朦朧としていたり、ボーッとしていたりして、落ち着けば元の状態に戻ります。

てんかんが軽く短い間であれば、すぐに元の状態に戻り、何ともなかったかのようにしている犬もいます。

てんかんがおきた時の対処法

愛犬がてんかんを起こすと、とてもびっくりすると思います。

てんかんは急に起こることが多く、発作が起こっている途中の状態は見ていられない、という飼い主さんも多いです。

飼い主さんのほとんどは、初めて愛犬のてんかんを見た時、パニックになり何もすることが出来ないようです。

そして、動物病院へ連れて来て、てんかんの状態を聞いた時にも飼い主さん自身がパニックになっているため、状態を把握していないことが多いです。

実際、動物病院へ連れて来る頃にはてんかんも収まりケロッとしている犬がほとんどですので、その時の状況というのは飼い主さんにしかわかりません。

パグ,風邪

愛犬がてんかんをおこしたら

愛犬が急にてんかんを起こした時は、まず落ち着いてください。

てんかんの発作が起こっている時は、意識がない場合がほとんどで、犬本人も自分の体のコントロールが出来ないということは頭に入れておいて下さい。

びっくりして、身体を揺らしたり抱き上げたり、大きな声で呼びかける飼い主さんも多いです。

しかし、コントロールが出来ない状態では、あまり刺激すると危険な場合もあります。

てんかんが起きた場合は、落ちついて、周りにある物をのけるなど、発作中に犬が怪我をしないようにしてあげてください。
発作中に噛まれたり、引っかかれる事もあるので、触るのであれば、激しく触ったりせず、優しく声をかけながら撫でてあげる程度にしましょう。

激しく触ると、神経を興奮させてしまい、発作を長引かせてしまう可能性もあるので注意が必要です。
そして、発作の時間、何回起きたか、どういう状態だったのかを記録しましょう。

落ち着けば動物病院へ連れて行きましょう。

その際、記録した情報を獣医師に伝えることが大切です。
最近では、スマートフォンなどで動画を撮って獣医師に見せると伝わりやすいですので、おすすめです。

実際の動物病院の現場では、入院中の犬がてんかんを起こすことがたまにあります。

動物病院の入院ケージの中でてんかんをおこすと、従来以上に激しく暴れるようなてんかんの症状がでてしまうこともあります。その際は、ケージの壁や扉に激しく顔や頭、全身をぶつけて怪我をしてしまうこともあります。

そうなると、本来の治療とは別に、怪我をした場所の治療も追加で必要となってきます。

また、発作中に舌を噛まないようにと口に手や物を入れる飼い主さんもいますが、絶対に口に手や物を入れないようにしてください。

口に手を入れると、飼い主さんが噛まれて怪我をする可能性があります。

てんかん中の犬は体の自由が利かないので、強い力で噛んでしまう可能性が高いです。

また、物をいれると、歯の損傷や、異物の誤飲による窒息などの可能性があり危険です。

このように、てんかんは対応を間違えると二次的な被害・怪我の可能性があるので、家で犬がてんかんを起こした場合は、ケージの中でなるべく怪我をしないように柔らかい素材のものをひいたり、壁にもクッションの役割のあるものを付けたりする工夫をしたり、手を口に入れないのはもちろん、誤飲のリスクがあるものを放置ないないなど、準備が必要となります。

万が一、てんかんを起こした際に犬が怪我をしてしまったら、獣医師にその旨も伝えるようにしましょう。

犬のてんかんの治療法

犬のてんかんの治療法は、抗てんかん薬療法が一般的です。

抗てんかん薬とは、てんかんを抑制する薬です。

抗てんかん薬は、治療を開始する前に何度も長期的にてんかん発作を起こしている犬に比べて、初期に治療を始めることによって量が少なくて済むということと、長期的に発作の制御になることに有効的です。

てんかんが起こった場合は、出来るだけ早めに動物病院へ行き、治療にかかる方がいいということです。

まず、犬の血液検査などの検査を行って、その結果をみてから治療を開始する方法が一般的になります。

抗てんかん薬は、いくつか種類がありますが犬の状態や検査結果によって使い分けされます。

一般的には、内服薬の薬が処方されます。しっかり獣医師の指示に従い服用させることが重要です。中には、てんかんが何日も起こっていないということで、自己判断で薬の服用を中止してしまう飼い主さんをよく見ます。しかし、薬を急にやめると、突然大きな発作が起こったり、再発したりする可能性があります。中止するときは必ず獣医師と相談して、慎重に中止する必要があります。

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2月 8th 2018

重い犬のてんかん発作の場合

一般的なてんかん発作の場合は、錠剤タイプの抗てんかん薬を使用しますが、てんかん発作が5分以上続くような重いてんかん発作の場合は、緊急の処置をしなければいけません

このような時は、直接血管に管をいれて、静脈内に注射をしたり、点滴をしたりします。

しかし、この緊急処置ができるのは、てんかん発作が起きている時に来院した場合や、入院している時に起きた場合しかできません。

家では、このようなひどいてんかん発作が起こったときに使う、座薬もあり、多くの動物病院ではてんかん発作が起こった時のお守りとして、座薬を処方することも多いです。

てんかんの治療は全て獣医師が決めるものです。

獣医師の指示を守らず、自己判断で投薬をやめたり、量を減らしたりするとてんかんが悪化することがありますので、注意が必要です。

犬のてんかんからみる考えられる病気

突発性てんかんは明らかな異常が無い遺伝的なものが原因ですが、症候性てんかんは、脳に何らかの病気が隠れている場合があります。

また、頭蓋外性のてんかんも脳以外に何らかの病気が隠れている場合があります。

症候性てんかんと頭蓋外性の、てんかんからみる考えられる主な病気を挙げていきます。

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